異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第24章 公開聴取 前編
講堂の空気が一気に傾いた。
「最低だ……」
「公爵令嬢なのに」
「いじめとか信じられない」
私は静かに思った。
……ああ。
これだ。
私は一歩前に出る。
「発言してもよろしいでしょうか」
講堂が少しざわつく。
アルベルトが頷いた。
「許可する」
私は言った。
「私、まだ何もしていないんですけど?」
一瞬の沈黙。
次の瞬間。
「言い訳か」
「最低だな」
「被害者が泣いてるのに」
ざわめきが広がる。
私は少しだけ眉を上げた。
「……なるほど」
私は静かに呟く。
そのときだった。
後ろから落ち着いた声がした。
「興味深いですね」
振り向く。
講堂の端――腕を組んで立っている青年。
ノア・アルケイン。
彼は眼鏡を押し上げながら言った。
「まだ事実関係が何一つ提示されていない」
そして講堂を見渡す。
「それなのに、結論が出ている」
ノアの目が細くなる。
「これは――」
彼はゆっくり言った。
「とても綺麗な感情誘導ですね」
その瞬間。
リリアーナが小さく震えた。
そして――涙がこぼれた。
ぽろり。
その一滴が落ちた瞬間。
講堂の空気が爆発的に傾いた。
「やめろ!」
「彼女を責めるな!」
「リリアーナ様は悪くない!」
私はその光景を見て、確信した。
これは偶然じゃない。
噂でもない。
誤解でもない。
『現象』だ。
人々の感情が、まるで糸で引かれるように動く。
私は小さく呟いた。
「……世界のバグ」
ノアがわずかに笑う。
「ええ」