異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第23章 公開断罪 後編
図書館の貸出票。
「この本の貸出記録です」
そこにははっきりと書かれている。
貸出者:エミリア・ヴァレンシュタイン
三日前の日付。
ざわめきが広がる。
「え?」
「本人の本じゃない?」
カインの表情が止まる。
「……それがどうした」
どうもこの人は『こう!』と思うと突っ走って視野が狭くなるようだ。
私は落ち着いた声で続けた。
「図書館の棚の前で、リリアーナ様が困っていらしたので」
少しだけ微笑む。
「“その本はこちらです”と教えて差し上げただけです」
沈黙。
カインの思考が止まる。
「そもそも」
私は本を軽く持ち上げた。
「これは上級闇魔導史です」
周囲の生徒たちも気づき始める。
「光魔法を使われるのリリアーナ様には、かなり難しい内容だと思います」
完全な静寂。
カインの拳が握られる。
「……だが」
彼は言った。
「彼女は泣いていた」
私は首をわずかに傾けた。