異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第22章 公開断罪 前編
昼下がりの王立学院は、いつも通り穏やかだった。
芝生の上では令嬢たちが紅茶を飲み、騎士科の学生たちは模擬剣の稽古をしている。
遠くでは魔導科の実験が軽く爆発し、教師が頭を抱えていた。
つまり、平和である。
――その声が響くまでは。
「王立学院の生徒諸君、聞いてくれ!」
突然、中庭に響いたのは、よく通る男の声だった。
生徒たちが一斉に振り向く。
そこに立っていたのは、赤い騎士外套を翻す青年。
カイン・レオンハルト。
レオンハルト公爵家の嫡男。
騎士科の模範生。
誠実で熱血、弱き者を守る正義の騎士として知られている人物。
ただし――
思い込みが激しい。
とても…いやかなり。
「私は今から、この学院に潜む不正を明らかにする!」
中庭がざわめく。
「また始まった……」
「正義イベントだ」
「今日のターゲット誰?」
そのカインの背後には、小さく肩を震わせる少女が立っていた。
リリアーナ。
「カイン様……もうよろしいのです……」
か細い声。
今にも泣きそうな瞳――完璧な弱者の姿だった。