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異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった

第17章 私が主役 後編


涙を流す。
震える。
完璧な被害者の顔。

 でも――最近、分かる。

――これだけじゃ足りない。

涙は何度も使えば、価値が落ちる。
観客は慣れる。疑い始める。
なら――次は……
私はゆっくり息を吐く。
考える。エミリアの弱点。
彼女は慎重だ。必ず第三者がいる。
二人きりにならない。隙を作らない。

――だから今まで失敗した。

でも……もし……

“彼女が何もしていないのに”罪が成立する状況が作れたら?

私は机の引き出しを開ける。
そこには、小さな魔石。
聖女の奇跡を増幅する触媒。
学院では使うべきじゃないと言われているもの。

でも……ほんの少しなら。

私はそれを手に取る。
 
指先が震える――怖い。
 
でも……このままじゃ負ける。

エミリアは動かない。
だから私が――物語を壊す。

 私はゆっくり笑う。
 
そう……事故じゃ足りない。

演出じゃ足りない。

次は“奇跡”を使う。

聖女の力で、誰かを救う。

そしてその原因を――

エミリアにする!

そうすれば。
誰も疑わない。
聖女が奇跡を起こし、悪役が暴かれる。
完璧な物語。
観客が一番好きな結末。
私は魔石を握りしめる。
胸の奥で、鼓動が速くなる。
これが最後。
次の一手で、全部決まる。
窓の外で風が強くなる。
まるで嵐の前みたいに。
私はまだ知らない。
この一手が、自分の物語を救う手じゃなくて――完全に壊す一手だということを。
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