後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第21章 課題 後編
誰かがこの衣を着て、密かに出入りしている。
『第三の違和感 ― 紅蘭の手紙』
紅玉宮。
朱雀妃紅蘭 の手紙。
琳は紙を灯りに透かした。
すると――うっすらと跡が浮かぶ。
「やっぱり……水文字……」
水文字とは、果汁や、油で文字を描き、乾くと消えるが、湯気を当てると文字が浮かび上がる文字のことである。
『満月の夜、門が開く』
琳は息を呑む。
「門……?」
どの門だ。
そのとき、紙の端に微かな匂い。
……山椒
台所から消えた香草。
つまり。
この手紙を書いた人物は
同じ香を使っている。
『第四の違和感 ― 乳母の夜』
玄晶宮。
玄武妃
玄珠 の乳母を琳は尾行した。
――夜。乳母は裏門へ向かう。
そこには――男がいた。宦官ではない。兵でもない。
黒衣の影。乳母は震える声で言った。
「もうやめてください……」
男は冷たく言う。
「門を開けろ」