後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第24章 暁辰と琳 後編
「……」
言葉に詰まる。
さっき。
助けられた時、腕を掴まれて、引き寄せられて。
あの距離で、あの目で見られて。
胸が、少しだけ――
変な感じになった。
「ほら!」
白宝さまが叫ぶ。
「今間があった!」
「違います!」
「怪しい!」
「違います!」
白宝さまは腕を組んだ。
そして真顔で言う。
「琳」
「はい」
「もし妃になったら」
私は即答した。
「なりません」
白宝さまは笑う。
「即答!」
そして、私の耳元でこそっと言う。
「でもさぁ」
小さな声。
「陛下」
ちらっと振り返る。遠くで衛兵と話している皇帝。
「さっき琳のこと」
にやりと笑う。
「すごい目で見てたよ?」
「……え?」
白宝さまは楽しそうに言った。
「獲物見る目じゃないよ」
少し声を潜める。
「男の目」
私は思わず振り返った。
ちょうど――皇帝がこちらを見た。
視線がぶつかる。
一瞬だけ、陛下の目が細くなる。
まるで。
面白いものを見つけたみたいに。
白宝さまが小声で言う。
「ね?」
私は何も言えなかった。
ただ。
胸が。
さっきより、少しだけ。
うるさくなっていた。
その夜。
事件の黒幕はすぐに判明した。
皇后宮の女官長――翠嵐(すいらん)。
暁辰は低く言った。
「黎明」
「皇后との関係を調べろ」
「御意」
だが数日後。
報告は意外なものだった。
「陛下」
「皇后と翠嵐の直接の関係は確認できません」
「事件との繋がりも見つかっておりません」
暁辰は少しだけ目を細めた。
「……だが」
黎明が続ける。
「皇后宮から罪人が出たことで」
「皇后勢力は確実に弱まりました」
結果として。
皇后には三ヶ月の禁足令が下された。
だが。
皇后――沈・瑠華。後宮最大の権力者。
三ヶ月の禁足など、むしろ好機だったのかもしれない。
ここから、物語は少し進む。