後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第20章 課題 前編
「誰にも知られずに」
琳は頭を下げた。
「承知しました」
『青龍妃の依頼』
その翌日。
青龍宮に呼ばれる。
――皇后の次は青龍妃か…この分だと全員に呼ばれるな。こりゃ……
琳は自分が皇后と四妃に試され始めていることに気付いていた。
蒼玉宮――青龍妃の寝室で、青龍妃 碧麗 は窓辺に立っていた。
「そなたが琳か?」
「はい」
碧麗は振り返る。
「私の衣に、妙な傷がつく」
「傷……?」
「刃物ではない。糸が、内側から切れている」
琳は眉を寄せる。
「虫……ではありませんね」
碧麗は微笑む。
「あぁ。虫ならこんな都合よく、袖だけを切らない」
碧麗はゆっくり近づいた。
「誰かが、私の衣を触っている」
「調べて」
「犯人が誰か」
「そして――」
声が低くなる。
「何のためか」
『朱雀妃の依頼』
その夜――朱雀宮。
朱雀妃 紅蘭 は楽しそうに笑った。
「あなた、大人気ね」
琳は跪く。
紅蘭は扇で顎を支える。
「私のお願いは簡単よ」
「最近、手紙が届くの」
「差出人不明の?」
「そう」
紅蘭は一通をぞんざいに投げた。それを琳が拾う。
中には一行。
『夜に気をつけろ』
琳は目を細める。
「脅しでしょうか」
紅蘭はくすくす笑う。
「違うわ……これはね……」
扇が閉じる。
「恋文よ」
琳は黙る。
この人……自己肯定感が高いなとは思っていたけど、頭はどうやらそうでも無さそうだ。
どう考えても脅迫文だろ?これ……