後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第20章 課題 前編
瑠璃宮の茶会から数日後。
見習い女官となった琳は、後宮の空気が以前とは違っていることを感じていた。
廊下を歩けば、視線が向く。
女官たちがひそひそと囁く。
「……あの子よ」
「毒衣の事件を解いたって」
琳は聞こえないふりをして歩いた。
しかしその日の午後、瑠璃宮から呼び出しがかかる。
『皇后の依頼』
瑠璃宮の奥室。
皇后 沈・瑠華 は、静かに書物を閉じた。
「琳」
「はい」
「あなたに頼みたいことがあります」
琳は跪く。
「最近、後宮の台所で奇妙なことが起きています」
「奇妙なこと、でございますか」
瑠華は静かに言った。
「食材の帳簿が合わないのです」
琳は顔を上げた。
「盗み……でしょうか」
「いいえ」
皇后は微笑む。
「盗むなら、もっと高価なものを取るでしょう。
消えているのは――薬味と香草ばかり」
琳は思う。
――毒か、薬か……
瑠華は続けた。
「調べなさい」
「ただし」
皇后の目が細くなる。
「誰にも知られずに」