後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第17章 茶会 後編
「早い出世ですこと……しかし、所詮は下級女官見習い」
少し蔑んだ口調。
碧麗が言う。
「誰かが動いた」
玄珠も頷く。
「ええ」
白宝が言った。
「もしかして!」
「偉い人が助けたんですか?」
紅蘭は意味深に笑う。
「さあ」
皇后瑠華は静かに言う。
「誰が動いたかは重要ではないわ」
四妃の視線が集まる。
皇后は続けた。
「重要なのは……その娘が使えるかどうか」
白宝が首を傾げる。
「使う?」
玄珠が穏やかに説明する。
「後宮では、賢い者は重宝されるのです」
紅蘭が言う。
「特に――秘密を扱える者は」
皇后瑠華は少し微笑んだ。
「その琳…今すぐがあれば、ここへ呼びなさい」
侍女が頭を下げる。
「かしこまりました」
白宝が嬉しそうに言う。
「やった!早く会いたい!」
碧麗は静かに言う。
「値踏みしてみようじゃないか」
紅蘭が笑う。
「ええ。ただの幸運な下女か、それとも――」
扇がゆっくり閉じられる。
「本当に使える駒か」
玄珠は公主を抱き寄せながら小さく言った。
「……あるいは……駒ではないかもしれません」
皇后瑠華は庭の花を見つめた。
――琳
面白い娘ね……後宮は広い。でも、賢い者は必ず浮かび上がる
そしてその頃――
雑務局の裏庭。琳は桶を抱えて座り込んでいた。
「はぁ……疲れた……」
桃児が隣で笑う。
「でも阿琳すごいよ!」
「見習い女官だよ!」
琳は苦笑する。
「いや、雑用増えただけだから。下級だし」
桃児が小声で言う。
「でもさ」
「最近、偉い人に見られてない?」
琳は顔をしかめた。
「……気のせいだと思いたい」
だが。
琳は知らない。
今この瞬間。
皇后 沈・瑠華
青龍妃 碧麗
朱雀妃 紅蘭
玄武妃 玄珠
白虎妃 白宝
――後宮の頂点に立つ五人全員が、下級女官見習い「琳」へ興味を持ったことを。
――そしてその興味は、やがて琳を、後宮のもっとも危険で華やかな世界へ引き上げていくことになる。
――物語は、ここからさらに動き始めた。