後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第16章 茶会 前編
嬉しそうにお菓子を頬張る公主をみて、白虎妃は蕩けそうな顔をする。
「ほっぺ柔らかそう!」
朱雀妃がくすっと笑う。
「白宝様は子供好きですわね」
「はい!」
白宝は即答した。
「だってこの子、後宮で唯一の子供ですもん」
空気が一瞬だけ沈む。
それはつまり——玄武妃だけが子を産んでいるという事実。
しかもその子は、皇帝が皇太子だった頃、たった一度の伽で授かった子だった。
玄武妃は静かに微笑む。
「運が良かっただけです」
朱雀妃が扇で口元を隠す。
「運、ですか」
意味ありげな声。その時だった。
青龍妃がふと口を開く。
「ところで」
茶碗を置いた。
「最近、後宮で妙な噂を聞きました」
朱雀妃が目を細める。
「噂?」
「衣の毒の話です」
庭の空気が止まった。
白宝が首を傾げる。
「毒?」
朱雀妃がすぐに言う。
「青龍宮の衣に毒が仕込まれていたとか」
「物騒ですわね」
白宝は驚いた顔をした。
「え!?誰がそんなこと!」
朱雀妃は扇を揺らす。
「さあ……」
「でも白虎宮の侍女が関わっていたとか」
その瞬間、白宝が目を丸くする。
「え!?うちですか!?」
庭の空気が鋭くなる。
だがその時——後ろから声がした。
「失礼いたします」
白瑪宮侍女頭、明橘が進み出る。
皇后に一礼してから、静かに言った。