後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!
第16章 茶会 前編
――皇帝・暁辰
今は政治にほとんどの時間を使い、後宮に足を運ぶことは少ない。
白い衣の女が静かに言った。
白虎妃・白宝(ぱいぼう)。
まだ20歳のこの中では最年少だ。
まだ遊び心が抜け出せない様子の女性だ。丸い瞳で茶菓子を見つめている。
「でも最近、本当にいらっしゃらないですよね」
ぱくっと菓子を食べながら言う。
「わたし、最後にお会いしたの三ヶ月前です」
庭の侍女たちが一瞬固まった。朱雀妃が笑う。
「白宝様は正直ですこと」
白宝は首をかしげる。
「だって本当ですし?」
その横で、静かな女が茶を飲んでいた。
青龍妃・碧麗(びんりー)。
後宮でも最も古参の妃。冷静で、感情をあまり表に出さない。
彼女がゆっくり言う。
「陛下は政務を優先なさっている。後宮が平穏である証でしょう」
その言葉は正しい。
だが——
それは同時に、寵愛争いが止まっているという意味でもあった。
そこで一人、穏やかな声が入る。
「まあ、それも仕方ありません」
黒紺の衣の女。
玄武妃・玄珠(しぇんじゅ)。
落ち着いた雰囲気の女性だ。
その隣には小さな椅子があり、そこに四歳ほどの女の子が座っていた。
公主、皇帝の娘。
後宮で唯一の皇子女。
「母上、お菓子」
「一つだけですよ」
玄珠が優しく言う。
白宝が身を乗り出す。
「公主様かわいい!」
嬉しそうにお菓子を頬張る公主をみて、玄武妃は蕩けそうな顔をする。