緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第9章 終わりと始まりの街で
「うるせェ! 俺の女を俺が抱きしめて何が悪い! ……あー、美味ェ。お前が隣にいると、酒が格別に美味いな」
その顔は先ほど広場で見せた儚さなど微塵も感じられないほど、幸せそうに満ち足りていた。
は彼の胸に顔を埋めながら、その力強い鼓動の音をじっと聴いていた。
やがて夜が更け、宴の喧騒も静まり返る。
朝日が昇る直前の甲板では、飲み明かしたクルーたちが雑魚寝して高いイビキをかいていた。
そんな静寂(?)の中で、シャンクスはまだ起きていた。
酒瓶を片手に船の舳先に腰掛け、今にも水平線から昇ろうとしている太陽を待ち構えるように、じっと遠くの海を見つめている。
その背中は、やはりどこか寂しげだった。
「……シャンクスさん」
はそっと近づき隣に腰を下ろした。
シャンクスは少し驚いたように瞬きをして、それからいつもの優しい笑みを浮かべた。
「お前、まだ起きてたのか? ……寒くねェか?」
「大丈夫です。……あの、シャンクスさん。実はお昼に、処刑台の広場にいるのを見ました」
「……あぁ、見られてたか」
シャンクスは少しきまずそうに頭を掻き視線を海に戻した。
「いつもと様子が違うのが気になって……ベックさんに過去のことを聞いたんです。……シャンクスさん、海賊王の船に乗っていたんですね」
その言葉にシャンクスは一瞬だけ目を見開いたが、すぐにふっと柔らかい表情になった。
「ベックのやつ、余計なことを……。まぁ、隠すようなことじゃねェけどな。……あぁ、そうさ。俺はロジャー海賊団の見習いだった。あの麦わら帽子は、船長から貰った、俺の宝物だ」
「……そう、だったんですね」
は海族を目指す少年に託された麦わら帽子を思い浮かべた。
「あの……じゃあ、シャンクスさんは見たんですか? ……『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』を」
話を聞いてから気になっていた疑問を、は静かに問いかけた。
世界の誰もが追い求めるその最果ての地にあるものを、彼は知っているのだろうかーー。