緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第9章 終わりと始まりの街で
「アイツが被っていた麦わら帽子も、元はその海賊王から託されたもんだった。あの街は、アイツの『海賊王とのすべて』が終わって、アイツ自身の『海賊』が始まった場所なんだよ。だからな、ここへ来ると……どうしても、あの日の、ガキ頃に戻っちまうんだろうな」
「……あの日、に……」
は胸がぎゅっと苦しくなった。
自分が知る前の彼の原点。
そこにいた彼を想うと愛おしさと同時に、どうしようもない切なさが押し寄せる。
「アイツが今、いつも通りに笑ってんのはな、。無理をしてるわけじゃねェ。……ただ、あの過去を背負った上で、今お前や俺たちとこうして笑ってられるのは、アイツにとっての現実が『今』だからだ」
ベックマンは大きな手で、の頭をそっと乱暴に撫でた。
「そんなに泣きそうな顔すんな。アイツが一番見たくねェのは、お前のその顔だ。過去のアイツを気にする必要はねェ。今、アイツの隣を歩いてんのはお前だろ」
「ベックさん……」
「ほら、寂しがり屋の猛獣がこっち睨んでるぞ。早く戻ってやれ」
ベックマンの視線の先を見ると、いつの間にか杯を持ったままベックマンとが親しげに話しているのを、ものすごく嫉妬深そうな目でギロリと睨みつけているシャンクスの姿があった。
「おい、ー! 何ベックとこそこそ話してんだよ、早くこっち来い!」
大きな声を上げて、シャンクスがこちらに向かって手を振った。
その目はすでに、ベックマンに対する凄まじい嫉妬で据わっている。
が小さく笑って彼の元へ歩み寄ると、待ってましたとばかりにシャンクスの逞しい片腕が容赦なく彼女の腰を掠め取り、自分の胸の中へと強く引き寄せた。
「ひゃっ!? ……ちょっと、シャンクスさん、みんなが見てますから……っ!」
周りのクルーたちが「おーおー、お頭の独占が始まったぞ!」「ベックに嫉妬してやんの!」と口々に囃し立てる。
顔を真っ赤にして慌てるをお構いなしに、シャンクスは彼女を腕の中にすっぽりと閉じ込めたまま、その手で豪快に杯を干した。