緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第9章 終わりと始まりの街で
(やっぱり、私の見間違いだったのかな……。昼間のあの顔は……)
いつも通りに仲間と肩を組みら大声を上げて笑う彼を見ていると、広場での姿が嘘のように思えてくる。
けれど、どうしても胸の奥の引っかかりが消えなかった。
あの時、確かに感じた、胸が痛くなるほどの切なさは何だったのだろう。
騒がしい甲板の隅、手すりに寄りかかって一人煙草をくゆらせている男の姿を見つけ、は静かに足を向けた。
「……ベックさん。少し、お話いいですか?」
ベックマンは灰を海へと落とし、やってきたを薄い目で見つめた。
「お前か。どうした、お頭の隣にいなくていいのか? アイツ、さっきからお前を探してキョロキョロしてるぞ」
「ううん、今は皆と楽しそうにしてるから……。あの、ベックさん。昼間、街の広場でシャンクスさんを見たんです」
その言葉に、ベックマンの煙草を挟む指がわずかに止まった。
「……処刑台のところか」
「はい。声をかけようと思ったんですけど、なんだか……すごく遠い人に思えて、声をかけられませんでした。寂しそうで、今にも消えちゃいそうで。シャンクスさんにとって、あの街は……何があった場所なんですか?」
尋ねるの瞳は揺れる夜の海を映して、今にも泣き出しそうに潤んでいた。
ベックマンは小さく溜息をつき、新しく煙草に火をつけ直した。
紫煙が風に流れていく。
「お前さんになら、話してもいいか…………あそこは……あいつにとってかけがえのない場所なのさ」
「え……?」
「あの場所で、海賊王ゴールド・ロジャー処刑された。アイツが、世界で一番憧れて、背中を追いかけ、世話になった男だ」
ベックマンの静かな声が、波の音に混ざり合った。