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緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】

第9章 終わりと始まりの街で


広場の中央にそびえ立つ古びた処刑台。


その下でシャンクスはただじっと、微動だもせずに上を見上げていた。
その横顔はどこか儚く、今にも風に溶けて消えてしまいそうなほど静かだった。



(……シャンクスさん)



胸が締め付けられるような不安に襲われ、は思わず一歩を踏み出し彼の名前を呼びかけようとした。


けれど――その唇から言葉が出る前に身体が止まった。
今の彼と自分の間には決して踏み込めない、分厚い壁紙あるような気がしたのだ。


その横顔は、いつもの、を優しく抱きしめてくれるシャンクスではない。
かつてこの地で、偉大な何かの終焉と始まりを目撃した、一人の「海賊」の顔だった。




「お嬢……? お頭のところ、行かないんですかい?」



荷物を持ったクルーが不思議そうに覗き込んでくる。
は小さく首を振ると、きゅっと唇を結んだ。



「……ううん。そっとしておきましょう。邪魔をしちゃ、いけない気がするから」



もう一度だけその背中を振り返り、は彼を一人残して港へと戻った。








グランドラインに入る前の最後の補給は、ベックマンの指揮のもと驚くほど手早く済まされた。
街が夕闇に包まれる頃には、赤髪海賊団の船はすでにローグタウンを背にして出航していた。







船に戻ってきたシャンクスは、一見するといつも通りの彼だった。
身体を気さくに揺らし、「よぉ、! 買い物は楽しめたか?」と、いつもの眩しい笑顔で彼女の頭を撫でてくれた。



やがて船が安定した航路に乗ると、甲板では「グランドライン突入前夜祭」と称した宴が始まった。



「おい野郎ども! 泣いても笑っても、明日からはあの『偉大なる航路(グランドライン)』だ! 今夜は朝まで、とことん飲み明かすぞーー!!」



「「「おぉーーーっ!!!」」」




杯を掲げて豪快に笑うシャンクス。
その姿を見つめながら、は手元の果実酒に視線を落とした。




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