夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第14章 天使と巡り会うオラトリオ【東京第2結界】
「僕のやり方では解析に時間が掛かりすぎる」
『なるほど、急ぎというわけか』
星也と“天使”のやり取りを、華は黙って聞いていた。
『いいだろう。助けてもらった恩もある。それに、華も以前 君に――』
「あぁ――ッ⁉︎」
華が慌てて“天使”の口を塞ぐ。そんな彼女たちのやり取りに、星也は首を傾げた。
「えぇっと! 以前も辛い境遇から助けてくれた人がいるんです! いやぁ、人の心も捨てたものではありませんね‼︎」
彼女のその言葉に、星也は目を瞬かせる。そして、「そうだね」と無意識に表情を綻ばせた。
「人の善性に触れると、僕も救われた気持ちになるよ」
同時に罪悪感も覚える。そんな彼ら全員を救ってやれない己の無力さに。
あぁ、駄目だな。こんなことを考えていては、また星良に叱られてしまう。
頬を押さえつけられた“天使”の口が、今度は華の手の甲に現れる。
『だが、先にこちらに協力してもらう』
「協力?」
訝しむ星也に、“天使”は『そうだ』と頷いた。
『私の目的は、受肉した泳者の一掃だ』
彼らの多くは、故意にしろ、無意識にしろ、受肉の過程で器の自我を殺して沈めている。
『これは あってはならないこと。神の理(ことわり)に反する』
「神の?」
『私の信条に名前をつけただけだ。聞き流していい』
受肉を嫌う、過去の術師の受肉体……随分と志が高いな。