夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第14章 天使と巡り会うオラトリオ【東京第2結界】
『東京第1結界に移動するんだ。この東京第2は、海に近いせいか、泳者よりも呪霊が多い』
「仮にそうだとしても、夜を避ければ行動パターンも読みやすいだろう?」
『言ったはずだ。私の目的は受肉した泳者と【堕天】。少なくとも、この結界に【堕天】がいる様子はない』
元々、この結界を出ようとする途中で札埜に出くわし、追いかけ回されていたのだそうだ。
『せっかく追い詰めたのだから、殺せばよかったものを。点も取れるだろう?』
「殺す理由がなかっただけだ。それより、本当に結界を出入りできるのか?」
『可能だ』
“天使”が短く頷く。
「自分以外を連れ出すことは?」
『それは厳しいな』
期待を込めて尋ねるが、答えは「否」だった。
『私の術式で結界術を消滅させるには、結界の大元を消滅させなければならない。その所在が分からないと、結界を素通りできるのはあくまで私たちだけだ』
“天使”の回答に、星也は考え込む。
非泳者を結界の外に連れ出せないかと思ったが……そう都合よくはいかないか。
「確認したいんだが、君の言う『私たち』というのは、『術師本人』のことか? それとも『呪力』のことか?」
星也の疑問に、“天使”が怪訝そうに首を傾げる気配が伝わってきた。
『何の確認か分からないが……どちらかと言えば後者だな』
その返事に、星也は微かに口角を上げた。
「そうか。だったら……一つ、試したいことがある」
* * *