夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第14章 天使と巡り会うオラトリオ【東京第2結界】
【十三番】の式神の硬質化で【朱雀】の浄化の炎から身を守ったものの、完全に無傷というわけにはいかなかった。
昔、晴明に手合わせという名の喧嘩をふっかけ、彼の【十二天将】とは何度も戦った。だから分かる。
目の前の男が――晴明と近い場所に立っていると。
――「……このままでは、呪いの世は終わらぬ。力を残さねばならぬのだ。より強く、より優秀な術師を生み出すために……」
その先で生まれたのがコイツってことかよ!
暗い夜色の瞳を見ていると、どうしようもなく苛立つ。
「オマエ……どこまで自分の術式を理解してる?」
【陰陽術式】は、“縛り”を科していなくても、並みの呪霊や術師を圧倒できるだけの出力を持っている。それでも満足できないのは、守りたいものがあるからだ。
――守りたいものが大きければ大きいほど、この術式は強くなる。
そう晴明は言っていた。守りたいもののために力を欲し、その力のために代償を背負う。その代償が大きいほど、【陰陽術式】は強くなる。
「……随分 僕の先祖と――安倍 晴明と仲が良かったんだな」
「あ"ぁ"? 気色悪いこと言ってんじゃねぇよ。ただの腐れ縁だ」
そう言いながら、札埜は呪符を構えた。
「来いよ――半端な攻撃じゃオレは殺せねぇぞ」
そのとき――……。
――リンゴン! リンゴン! リンゴン! リンゴーンッ!
突如 コガネが現れ、鐘の音を鳴らし始めた。札埜のものだけでなく、青年や天使のような見た目の女のコガネも現れる。