夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「行け。二度とここに近づくな。そうすれば殺さないでやる」
「…………」
術式を使おうとしたのか。一度 戦闘の構えを見せたものの、男は低く舌打ちをしてその場を走り去って行った。
一息吐き、星也はビルの中を振り返る。五十人足らずの非泳者たちが怯えた目でこちらを見ていた。
「あの……」
口を開くと、彼らは「ひっ」と青い顔をして震え上がる。
あぁ、そうか。随分と品のない戦い方をした自覚はある。
怒りと苛立ちに任せ、力を誇示しながら戦い――そして、殺した。
四つの死体を前に……けれど、初心者狩りをしていた二人を殺したときのような罪の意識はなかった。
泳者は十九日間の間に点の変動がなければ死ぬ。生きるためには相手を殺さなければならない……非泳者にも点は振られているから、奴らが間違っているわけでもない。
ただ、気に入らなかった。それだけだ。
「……怪我をしている人はいますか? 治療をしたらすぐに出て行きます」
こういう反応は慣れている。悪いのは、怒りに任せて力を振るった自分だ。
戸惑った反応をする彼らの視線がバラけた。そこには、何名か負傷している者たちがいる。素早く視線を走らせ、容体を確認した。
先ほどの連中にやられたのか。元々 負傷にしていたのか。環境的な要因で具合が悪い者もいた。