夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「【白虎】」
グル…と【白虎】が喉を鳴らし、声の方へ下降してくれる。ビル群の一角に年の若い人間が五人いた。男が四人、女が一人だ。
彼らはビルの中の者たちにジリジリと迫っていた。彼らの視線の先では、非泳者であろう人間たちが身を寄せ合って震えている。
すでに被害に遭ったのか。ビルの壁や床が血に濡れ、血溜まりもできていた。
「ここにいる奴ら全員 殺したら……三十点くらいか?」
「いや、もうちょいあるだろ。二、四、六……ん?」
「四十三人だ。泳者はいないみたいだから、一人殺すごとに一点だね」
「若いオンナはオレが殺る」
「なに興奮してんのよ、変態」
そんな下衆のような会話が耳に届く。
「や、やめろ! 俺たちが何をしたっていうんだ⁉︎」
「はははっ! そんな ありきたりなのが最期の台詞でいいのかよ!」
「人の最期なんてこんなモノだろう。案外 気の利いた言葉なんて思い浮かばないものさ」
「弱いヤツは強いヤツから搾取されるしかない! そうだろ‼︎」
襲撃者の一人が術式を発動するべく呪力を練った。
「――【奔れ、雷】」
奔る雷がバチバチッと爆ぜ、男を切り裂く。
『5点が追加されました』
「吾妻!」
どうやら、吾妻という名前の男だったらしい。どうでもいいが。
人を殺すのは好きではない。けれど、その命が他者の命を蹂躙し、略奪することを躊躇しないような悪人であれば、話は別だ。