夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「すまない。僕が余計なことを言って怒らせたせいだな」
優しい【太裳】に無用な殺しをさせてしまった。
【太裳】の頭を撫で、星也はその背に乗ると、手近な屋上へ移動した。ぐるりと辺りを見渡し、頭上も確認するが、天使と思しき姿は見つからない。
それにしても、思ったより静かだな。もっと あちこちから戦闘音がすると思っていた。
「いや、今 考えることじゃない」
望み薄だが、と星也は呪符に『天使』と書き、【失せもの探しの術】を発動する――が、やはり不発だった。本名でなければ無理だ。
「【天空】」
星也は【天空】を呼び出し、結界内を捜索させた。
「……結界内は半径五~六キロはありそうだな」
【天空】は他の十二天将より呪力消費が大きいが、索敵範囲が広くなると さらに呪力を消費する。この広さで【天空】を顕現させておいては、いくら呪力があっても足りない。
自分は人よりも呪力はあるが、乙骨には遠く及ばないし、五条のように呪力効率がいいわけでもない。呪力効率に関しては、むしろ悪い方だ。
「【天空】、天使は見つかりそうか?」
サァ…と砂塵が揺れる。北側か……疑っていたわけではないが、本当にいるんだな。
ある程度の場所が分かれば、後は足を使って捜索しよう。
星也は【天空】の術式を解き、【白虎】を呼び出し、結界の北側を目指す。そこへ、ほどなく進んで、激しい戦闘音と共に何人もの悲鳴が響き渡った。