夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「……ままならないな」
元より、無血で状況を収められるなど思っていない。【死滅回游】はそういうルールで回っている。
感情を殺せ。立ち止まっている暇などない。
「……バカにするな……」
ズルリと血だらけの身体を動かし、男が立ち上がった。
「バカにするな! この俺を! バカにするな‼」
「馬鹿にしたつもりはないよ」
謝罪した方がいいのか?
いや、それだと火に油を注ぐことになりそうだ。
そもそも、悪くないと思っているのに謝罪する方が不誠実か?
「死ね――ッ‼」
真面目にそんなことを考える無防備な星也へ、男が斬りかかる。
「よせ!」
迫る刃に制止を呼びかける――だが、それは男に言ったものではなかった。
星也の前に不可視の壁が聳え立ち、触れた腕の刀ごと男を消し飛ばす。触れた対象に自動で攻撃する【太裳】の結界だ。
先ほどの「よせ」という言葉は、男ではなく【太裳】へ向けたものだった。
普段は温厚だが、主人である星也を守るためなら攻撃を厭わないのも【太裳】の特徴だ。
『5点が追加されました』
【太裳】が星也の傍らに移動し、労わるように嘴を寄せてくる。