夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
『総則を参照しますか?』
「頼む」
口から光が出て、ホログラムのように八つの総則が映し出された。自分が把握しているものと変わりはなさそうだ。
「もういい。下がってくれ」
『素っ気な~』
ポンッと姿を消したコガネに反応することなく、星也は結界に足を踏み入れる――と、突如 自身が上空から急降下していることに気づいた。場所も、自分が入ったところとは違う。
総則に こんな情報はない……何が……。
冷静に状況の分析をしていると、視界の端で何かが光り、迫ってくる。
「――【太裳】」
翡翠色の翼が星也を覆うように包み込んだ――と同時に強い衝撃が伝わり、ビリビリと震える。
「ぐ、ぅあ……っ! あぁ……っ⁉︎」
もの凄い勢いで衝突した“何か”が、悲鳴を上げて墜落していった。
【太裳】の結界は、範囲が狭いほど強固になる。
【太裳】の背に乗りながら呆気に取られていると、やがてドチャッと生々しい音が耳に届いた。
『5点が追加されました』
地上に降り立った瞬間、誰かに背後から斬りかかられる。
「――【防刃】」
――キンッ!
振り返れば、術式で腕を刀に変えた男性泳者が襲いかかってきた。
「オマエ――ただの初心者じゃねぇな⁉」
なるほど。初心者狩りか。
結界に入るなり“転送”された。これは【死滅回游】の総則にない――結界の法則によるものか?
何にせよ 彼らは、突然 “転送”させられたことに戸惑う泳者を襲い、点を稼いでいるのだろう。
――まぁ、星也にとっては、だから何だという話だが。