夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
病院を出て、星也は袖口に隠していた呪符を見る。すると、呪符はパラパラと朽ちるように空気に溶けて消えた。
彼女に触れたとき、そのどさくさに紛れて呪符に触れさせた。肉体の情報と精神の情報が異なる場合に反応するよう作ったものだ。
「……津美紀」
大丈夫だ。必ず助ける。
津美紀のためだけではない。伏黒や詞織、星良のためにも――これはやらなければならないことだ。
そのためにも、【死滅回游】を平定させる必要がある。
「【太陰・白虎――合成天将『隠虎(おんこ)』】」
姿を隠しながら 最速で東京第2結界へと星也は急ぎ、ほどなく天を貫く結界の前へ到着する。
【隠虎】から降りて術式を解除すると、星也は結界の壁に触れ、解析を始めた。“縛り”で強度を上げているからか、解除は難しそうだな。結界術の腕は自分より遥かに上だ。
そこへ、ポンッと軽やかな音を立て、天使のような羽と悪魔のような尾を持つ 虫のような見た目の式神――コガネが現れた。目が星の形をしているのが印象的だ。
『よぉ! おれはコガネ! この結界の中では、【死滅回游】って殺し合いのゲームが開催中だ! 一度 足を踏み入れたらオマエらも泳者! それでもオマエは結界に入るのかい⁉』
これがコガネ――【死滅回游】のガイドとゲームマスターとの窓口を兼ねている式神か。
「あぁ」
『神ノ原 星也が【死滅回游】へ参加しました』
先ほどとは打って変わり、無機質な音声でコガネがアナウンスする。