夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「姉さんは もうじき ここに来る。僕とは入れ違いになるだろうけどね」
あと、と さらに続けた。
「補助監督にも言われてると思うけど、念のため。『いい』と言うまで病院から出ないこと。詞織も恵も、君が【死滅回游】に参加しなくて済むように動いてる。不安だろうけど、もう少し待っててくれ」
「……分かりました」
拳を震わせ、彼女が不安そうに俯く。星也はその肩に触れ、口を開いた。
「大丈夫だ。僕たちだけじゃない。仲間も手伝ってくれている。目覚めたばかりで身体も辛いだろう。まだ しばらく休んでいるといい」
「ありがとうございます、星也さん」
ホッと安堵した笑みを浮かべる津美紀に、星也は目を逸らした。
――「……星也さんのことが好きです」
――「あの、返事は帰って来てからでいいんで……」
……今 話しても仕方のないことだな。彼女も それに触れる気配はない。
「……そろそろ行くよ。僕にも役割がある」
「あ、星也さ……きゃっ⁉」
ベッドから降りようとしてふらつく彼女を寸でで受け止める。
「ごめんなさい……」
「いや……怪我は?」
「大丈夫です」
頼りない笑みを浮かべる彼女をベッドに座らせ、星也は病室のドアに手をかけた。
「あの、星也さん」
病室を出ようとして、呼び止められる。
「いってらっしゃい。お気をつけて」
あの日、最後に見た津美紀と同じ笑顔……。
星也は振り返るも、その目を真っ直ぐに見ることはできず、ただ短く「あぁ」と返したのだった。
* * *