夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第12章 トライトーンに蘇る恐怖【東京第1結界】
「【儚い幻想 夢現(ゆめうつつ) 眩(くら)む中で――紅い花が散ってゆく……】」
サァ…と紅い花弁が舞ったのを合図に、詞織は歌の効果を切り替えた。
「【月光(ひかり)が注ぐ 汀の淵で 涙を流し震える声が……】」
双子の月から光の雨が降り注ぐ。まるで涙を流すように。
いまだ両耳を塞いで必中効果を緩和しようとする かや子だが、そんなものは意味がない。
「【幼き日々の痛みを数え 祈るように君の名をうたう……】」
やがて、二つの光の柱が地上に降り、壊相と血塗の肩と下半身をそれぞれ貫いた。そこから解けるように輪郭がぼやけ、塵となって消える――同時に【領域】が解除された。
「はぁ……う、うぅ……」
頭を抱えて蹲ったまま倒れている かや子を見下ろす。
仕留め損なった。
でも、この状態なら術式なしでもやれる。
詞織は呪具の短剣の切っ先を突きつけた。そこへ、突如 ポンッとかや子のコガネが現れる。
『レジィ・スター様がお亡くなりになりました』
その言葉に詞織は目を見瞠った。
けれど、かや子に応える様子はない。痛みに余裕がないのだろう。
「コガネ。メグの情報開示」
『あいよ』
《伏黒 恵》
得点:051 変更:00回
滞留結界:東京第1
伏黒の点が跳ね上がっている。レジィを倒したのだ。そして、事切れる前に点を譲渡させた。
詞織は深く息を吸い込み、呪具を強く握り込む。