第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「はぁ……メグ、さすがに怒る」
「そうか」
涙目で睨みつけてくる詞織に平然と返し、目尻に溜まった彼女の涙も舐めとり、自分用に買ったキャップを被せた。顔を隠すために買ったものだったが、パーカーのフードがあるから、ないならそれでも構わない。
「あの……もうよろしいでしょうか?」
「あぁ、いいぞ」
気まずそうに視線を泳がせる虎杖の後ろに、詞織が隠れる。
「メグのバカ。もう知らない」
「おい。虎杖の後ろに隠れるの止めろ」
イーッと歯を出してくる可愛い詞織に頭を掻き、伏黒はため息を吐いた。
「詞織。俺は虎杖と様子を見てくるから、オマエは建物の外側を確認してくれ。潜入できそうな場所とか……見張りがいるならその辺りの情報も欲しい」
「わたしは行かなくていいの?」
すぐに頭を切り替え、詞織が尋ねてくる。
「賭け試合だからな。女より男の方が通りがいい。出場できそうならエントリーして、内側から秤さんと接触を図る」
試合に出るなら、自分より虎杖が適任だろう。その場合、自分も別ルートから潜入することになる。
「女って不便」
不満そうにポソリと漏らすが、詞織が女じゃなかったら俺がオマエと結婚できないだろ。
「そんじゃ、行ってくるわ」
「詞織、気をつけろよ」
「ん。行ってらっしゃい。二人も気をつけてね」
手を振って見送る詞織に背を向け、伏黒は虎杖と立体駐車場の中へ向かった。