第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「……何だよ」
「伏黒って、詞織に対して めっちゃ過保護だよな。別にシャツ姿で変な気 起こさねぇけど」
「オマエにその気がねぇことくらい 分かってる。俺がムラつくんだよ」
真顔でそう言うと、虎杖が目を瞬かせる。
「え、何て?」
「詞織が服 脱いでるってだけでムラつくっつったんだよ。何遍も言わせんな」
ただでさえ、傍にいるときの気配とか匂いだけでもドギマギさせられているのだ。
その中で、『服を脱ぐ』という動作は、いやでも詞織との“そういうこと”を思い出させてくる。薄いシャツの下の白さや柔らかさを知っているからこそヤバい。
「なんか……オマエも大変だな」
憐れむような眼差しの虎杖に、「別に」と短く返す。
もう九年もこの感情とつき合っているのだ。もう慣れた――と言いたいところだが、そんな日は一生 来ないだろう。
だが、状況が状況だ。慣れる慣れないは別にして、気を引き締めていかないと――……。
「メグ、着てた制服って どうした?」
木陰から、アイボリーカラーのパーカーを着た詞織が出てきた。
少しサイズが大きかったのか、袖がダボついている。さらに 肩も少し落ちており、華奢さや身体の小ささを強調していた。
動きやすさを意識し、同じく服と合わせて買ったシュシュを使い、首の後ろで緩く髪を結んでいる。