第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
禪院家の台所――半壊、あちこちに死体や身体の部位が転がり、この場所にも血溜まりが広がっている中で、釜を炊くコトコトという日常音が逆に違和感を抱かせる中、真希が静かに「母さん」と呼んだ。
「いやっ……! 来ないで!」
「母さん、お願い。聞いて」
「どぉして……⁉︎ どぉして、あなたは‼︎」
一族全員を手にかけ、変わり果てた姿の娘に、母は悲鳴を上げながら拒絶を示す。
「……あのとき、どうして『戻れ』って言ったの?」
「……何の話?」
コンロに追い詰められた母は、身体を恐怖に震わせながら首を傾げた。
そんな母へ、真希は静かに足を進める。
「……いや! いやぁっ! いやよ‼︎」
そして 一際 甲高い悲鳴が上がり、台所に新たな鮮血が弾けた。
・
・
・