第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
――【不知火型】
真依の命と引き換えに得た、呪力から脱却した鋼の肉体。
しかし、扇戦での負傷、【炳】との連戦……すでに亜音速を超えている直哉に対し、長期戦は不利と真希は判断した。
「真っ向勝負っちゅーわけかい‼︎」
「――抱いてやるよ」
すれ違いざま、直哉は真希の肩を叩いた。
【投射呪法】発動中の掌に触れたものも、二十四分の一秒で動きを作らねばならず、失敗すれば一秒フリーズする。
失敗すれば一秒――直哉は依然 トップスピードを維持している。
真希はアバラが折れてでもこちらの攻撃を受け、動きを止めるつもりだったのだろう。そんな見え見えの誘いに乗るわけがない。
――やっぱオマエは偽物や‼︎
フリーズしてしまっている真希の背後から蹴りを放つ――と、眼前に拳が突きつけられていた。
「二十四回だろ。ジジイもオマエも、速いだけじゃ違和感があった。一秒に二十四回 動きを刻んでた。この身体になってようやく見えたよ」
「このっ! 偽も"っ……!」
ゴッ! と直哉は真希に地面に叩きつけられる。
「悪い。もう一回 言ってくれ」
そう真希が言うも、意識を失った直哉には届いていなかった。
* * *