第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
「パンダ!」
「おっ⁉ オマエ……メカ丸か⁉」
見知らぬ男に呼ばれ、誰かと問おうとするも、匂いからすぐにメカ丸だと気づいた。隣には同じく京都校の三輪と、メカ丸2号・3号もある。
いったい何があったら、ロボから人間になれるのか。気にはなったが、今 聞くべきはそれではないだろう。
「オマエ、処刑じゃなかったのか?」
「三輪と……夜蛾学長に助けてもらった」
そして、パンダを探していたところでかち合ったらしい。
「メカ丸が、夜蛾学長の様子が気になるって……」
「妙な胸騒ぎがする。それで、オマエの鼻で追ってもらおうと探してたんだ」
妙な胸騒ぎは自分も同じだ。
「まさみち はこっちだ。ついて来い」
そうしてパンダはメカ丸と三輪を連れて出たアパートと森の間の小道に、二人の人影を見つける。酷い血の匂いに妙な胸騒ぎは確信へと繋がった。
「まさみち……っ!」
「「楽巌寺学長⁉」」
致命傷を負った“父”の姿に感情が一気に溢れるも、パンダは冷静にそれを鎮める。
メカ丸2号と3号が主人の前に出て構え、三輪も腰に下げた刀の柄に手をかけた。
楽巌寺も折れたギターを投げ捨て、臨戦態勢をとる。その間を パンダは無言で進み、楽巌寺の横を素通りした。
「おい、パンダ……」
「なぜ 戦わん? 儂が憎くないのか?」
戸惑っているのはメカ丸と楽巌寺だけでなく、三輪もどうしていいか分からず動けずにいるようだった。
「オマエら人間と一緒にすんな。パンダはそんなものに囚われん。アンタ、まさみち と仲悪くなかったもんな。どーせ、上に命令されてやっただけだろ」
ならば、自分にとって楽巌寺は、落ちているナイフのようなものだ。
そう言って、パンダは呼吸の完全に止まった夜蛾の遺体を両手に抱える。
「だが、これだけは覚えておけ。パンダだって泣くんだ」
こらえきれる涙が溢れ、パンダは大声を上げて感情のままに泣き叫んだ。
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