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彼はアイドル。

第8章 彼女の計画、彼の差別化。




彼はうさみの頬に手を添え、親指で熱を持った肌をやさしくなぞる。
その瞳は、拒絶されて傷つくどころか、自分の影響力で翻弄されるうさみを見て、悦びに濡れていた。


「……ほら、顔上げて。……そんなに嫌なら、今すぐ脱がせて『お揃い』終わらせてもいいけど。……どっちがいい?」


究極の二択を突きつけながら、彼はマイルドな笑みを浮かべる。
結局、逃げることも、隠れることも許されない。

うさみは、彼の匂いに包まれたまま、その支配的な優しさにじりじりと追い詰められていく。


「……っ、…………」


言葉にならない吐息が漏れる。
顔にのぼった熱は引くどころか、耳の先まで真っ赤に染め上げていく。
脳内は、目の前の拓人の存在と、自分を包み込む拓人の匂い、そして「お揃いを買ったのがバレた」という恥ずかしさで完全にショートしていた。


(……なんで、こんな……)


ふと、頭の片隅で冷静な自分が呟く。

自分の方が、彼より年上なのだ。
世間一般で言えば、もっと余裕を持って、彼の可愛らしい(?)独占欲を「はいはい」といなして見せる立場のはずなのに。

現実はどうだ。
年下の男に手首を掴まれ、逃げ場を塞がれ、あろうことか彼の「お下がり」を強制的に着せられて、心臓をこれでもかと揺さぶられている。
拓人は、そんなうさみの脳内の混乱を見透かしたように、いっそう目を細めて愉しげに笑った。



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