第10章 四六時中離してくれない。
「……直せないよ。てらが、ここがいいって言ったんだもん」
「ふーん。……物分かりいいじゃん」
「……というか、これ、職場で出せないね。他のスタッフに『うさみさん、てらのステッカー挟んでます?』なんて言われたら、私、その場でフリーズする」
が困ったように笑うと、拓人はソファから身を乗り出して、うさみのスマホの画面ではなく、自分が入れたステッカーを指先でトントンと叩いた。
「いいじゃん、見せつければ。……『あ、これ? 寺西本人が、ここがいいって聞かないからさ』って」
「言えるわけないでしょ! キャリアが文字通り灰になるわ」
「あはは! まぁ、職場では裏返しとけばいいよ。……でも、二人でいる時は、ちゃんと表にしといて。……俺、それ見るたびに、うさみが俺のファンで、俺の女だって再確認できるから」
拓人はそう言って、うさみの手からスマホを取り上げると、テーブルの上に「ステッカーが見えるよう」に、わざわざ裏返しにして置いた。
その瞬間、うさみのスマホが震えた。
通知画面は見えないけれど、透明なケース越しに、拓人が配置したステッカーが、まるで「俺が守ってるから」と言わんばかりに主張している。
「……ねえ、拓人」
「ん?」
「……やっぱり、拓人はすごいね。……アイドルの時も、今みたいに意地悪な時も、全部ひっくるめて、私を離してくれない」
うさみが少しだけ熱を帯びた瞳で彼を見つめると、拓人は一瞬だけ不意を突かれたような顔をして、それからすぐに、とろけるような甘い顔で笑った。
「……当たり前。……何年も独りで戦わせてきた分、これからは俺が、24時間体制でうさみの心、占拠しなきゃいけないんだから」
そう言って、彼は今度こそ、スマホなんて目に入らなくなるくらい深く、うさみを自分の方へと引き寄せた。
end...
どれ入れたんだろう。
某バンドのボーカルはてらたちの先輩です。