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彼はアイドル。

第8章 彼女の計画、彼の差別化。




しばらくの間、二人はお揃いの白に包まれて、溶け合うような時間を過ごしていた。
けれど、うさみの肩を抱く拓人の指先が、ふと、その真っさらな生地の質感を確かめるように動く。


「……なあ、うさみ」


「ん?」


穏やかだった彼の声に、少しだけ熱を帯びた企みが混じる。
彼はうさみの体を引き離すと、どこか挑戦的な、けれど最高に色っぽい笑みを浮かべて、自分のスウェットの裾に手をかけた。


「……これ、やっぱり脱ごうか」


「えっ……? 脱がないって」


驚くうさみをよそに、拓人は迷いのない動作で自分の着ていたスウェットを脱ぎ捨てた。

鍛えられたしなやかな身体が露わになり、うさみが目のやり場に困っていると、彼はその脱ぎたての、まだ熱を孕んだ服をうさみの膝に置いた。


「これ、俺の。……お前はこっち着て。俺は、お前がさっきまで着てた、その新品の方をもらうから」


「……えっ、ちょっと!」


「いいから」


拓人は強引に、けれど指先は優しく、うさみが着ていた「YESEYESEE」の新品を脱がせていく。

白い生地が肌を滑り、うさみの身体が露わになると、彼は満足そうに目を細めた。
そして、自分の体温と匂いがこれでもかと染み付いた「俺の白」を、うさみの頭からすっぽりと被せる。


「ほら。新品より、ずっといいっしょ」


袖を通すと、さっきの新品よりもさらにしっとりと肌に馴染む感覚。
鼻先をかすめるのは、紛れもない、大好きな拓人の匂いだ。


「あったかい」


「だろ?うさみ が自分で買ったやつは、俺が着て、俺の匂いにしてやる。……ファンが持ってるのはただの『商品』だけど、お前が今着てるのは、世界に一つだけの『俺の私物』」


彼は、うさみが着ていた新品のスウェットに袖を通しながら、不敵に笑った。
少しだけ窮屈そうに、けれど完璧に自分のものとして着こなす姿は、まさに王者の風格だ。


「これで、差別化完了。いい? 誰が何と言おうと、お前が着てるのが本物。俺に、一番近い場所にあったやつだから」


拓人は再びうさみを抱き寄せ、自分の匂いに包まれてそわそわしてる彼女を腕の中に閉じ込めた。

ファンという境界線を、彼はこうして鮮やかに、そして傲慢に踏み越えていく。


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