• テキストサイズ

彼はアイドル。

第8章 彼女の計画、彼の差別化。




うさみ彼の胸元に顔を埋めるようにして、消え入りそうな声で溢した。


「……いやぁ、だってお揃いしたかったので……」


指先が隠れるほど長い袖の裾を握りしめる。
自分で探して、自分で手に入れて、彼と同じものを身につける。そうすることで、彼がいない時間も繋がっていられるような気がした。
そんな健気な告白に、拓人の喉が小さく鳴った。


「……お揃い、ね」


拓人は一度腕を離すと、自分の着ていたコートを脱ぎ、ソファへ放り投げた。
白いスウェットが目に映る。
胸元には、あのロゴ。恐ろしいほどの偶然。
そのままうさみを正面から抱きしめ、首筋に深く鼻を押し当てる。


「新品の匂い、すんわ。……柔軟剤の匂いすらしてない」


彼は不満そうに呟きながら、うさみの腰を両手でしっかりとホールドした。


「お前が俺の真似してこれ買ったって想像するだけで……正直、頭おかしくなりそう。……ファンと同じもの持ってるだけで満足? 俺は、全然足りないわ」


拓人はうさみの顎を少しだけ持ち上げ、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「次からは黙って俺のやつ持ってけばいい。……俺の匂いが染み付いたやつの方が、何倍も似合うから」


そう言い放つと、彼はうさみの唇を奪いにいった。
白いスウェット越しに伝わる、彼の激しい鼓動。

お揃いなんていう可愛い言葉じゃ片付けられないほど、彼はうさみを自分の色に染め上げることに、ただただ執着していた。


「……脱がさないで」


せっかく手に入れた、彼と同じ白。
彼の腕の中で、この生地が彼の体温に触れ、彼の匂いが移っていくのを、ただじっと感じていたかった。

拓人は、その言葉に一瞬だけ意表を突かれたように目を丸くしたけれど、すぐにふっと表情を和らげた。

/ 100ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp