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彼はアイドル。

第7章 確信犯のメガネ。




木曜日 20:00

指定されたのは、都心の夜景を見下ろす彼のマンション。
インターホンを鳴らすと、ほどなくしてドアが開いた。

「……ちょうどいい時間。よく来たな」

そこにいたのは、衣装を脱ぎ捨てた、どこか隙のある姿の彼だった。
髪もセットせず、伊達メガネをかけ、ラフな格好でうさみを見下ろすその瞳。そこには約束を果たした充足感と、一週間溜め込んできたうさみへの執着が混ざり合っている。

「お邪魔します。……本当に、ちゃんと仕事調整してくれたんだ」

リビングに招き入れられながらうさみが言うと、彼はソファに深く腰掛け、不敵な笑みを浮かべた。

「うさみにダメだって言われたからな。無理せず、君との時間をちゃんと作る……それが一番効率いいって気づかされたよ。今の俺には」

隣に座るなり、彼は迷いなくうさみの肩を抱き寄せ、自分の体温を押し付けるように引き寄せた。

「これまで、何かを犠牲にしないと手に入らないものばかりだと思ってた。でもうさみはそれを許さない。……自分を大切にしろなんて、そんなこと言ってくるの、うさみくらいだわ」

彼はうさみの指先に自分の指を絡め、じりじりと力を込める。
その感触は、焦っていた先週とは違い、逃がさないという確信に満ちていて重い。

「今夜は無理してない。仕事も完璧に終わらせたし、体調も万全だ。……だから、ここからは俺のルールでいく」

彼はそう言うと、黒縁の伊達メガネを、乱暴に、でもどこか儀式のように外した。
視界を遮るものをなくし、剥き出しの瞳でうさみを射抜く。

「うさみが俺の体を心配してくれた分、俺は、うさみの全部を満足させることに専念する。……いい?」

彼が、自分の城で見せる、本当の回収。
それは、甘さの中に確かな独占欲が滲む、逃げ場のない夜の始まりだった。


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