第3章 至近距離で拝む自担の顔。
「ちょ……っ」
驚いて目を見開いたうさみの唇に、拓人の熱い唇が重なる。
ほんのりとソースのワインの香りと、肉の旨み。そして、それ以上に熱い、彼の体温。
「……ん…………」
拓人は、うさみの唇をなぞるように深くキスを落とすと、離れ際に「ぺろん」と、彼女の唇に残ったソースの味を盗むように舌を這わせた。
「…………。……うん、合格。……勝利のより、ずっと美味い」
拓人は、固まっているうさみを満足げに見つめ、いたずらっ子のように口角を上げた。
「……ちょ……な、何……今の……」
「味見。……スプーンより、こっちの方が味、よく分かる気がしたから。……それに、うさみの味も混ざって、ちょうどいい隠し味になってるし」
そう言って、彼は真っ赤になっているうさみの耳元に顔を寄せ、低い声で囁いた。
「……ごちそうさま。……続きは、食べてからね」
キッチンのタイマーが、間の抜けた音で鳴り響く。
キャリアも、ハンバーグのレシピも、彼の奔放すぎる愛の前では、もう何の役にも立たなかった。