第3章 至近距離で拝む自担の顔。
「これさ……俺、非表示フォルダに入れて、パスワードかけて、一生俺だけで見るから。……消さないよ。絶対に」
「……どうして、 綺麗じゃないのに……」
「綺麗だよ。……俺にとっては、ステージの上のどの光よりも、この顔の方が落ち着くんだわ。……うさみが俺を信じて、全部預けてくれてる証拠でしょ? これ」
拓人はスマホをポケットに仕舞うと、うさみを逃がさないように強く、でも壊れ物を扱うように優しく抱きしめた。
「……パーツとか年齢とか、そんなのどうでもいい。……俺が好きなのは、ずっと戦ってきて、それでも俺の前でだけ、こんなにふにゃふにゃに笑って、寝ちゃううさみなんだよ」
彼の心臓の音が、うさみの耳に直接響く。
コンプレックスで強張っていた心が、彼の体温でゆっくりと解かされていく。
「……バカにし……。……てらの、ばか」
「あはは、……にし、まで言えよ。……ほら、お腹空いた。……綺麗なうさみも、寝癖ついてるうさみも、全部俺のものなんだから。……諦めて、ご飯作って」
拓人はそう言って、うさみの頬を「むにー」と両手で挟んだ。
さっきのお返し、と言わんばかりの彼の笑顔。
コンプレックスさえも、彼の手の中では「愛おしい個性」に書き換えられてしまう。
「……わかった。……作るよ。……拓人、何食べたい?」
「ハンバーグ。……あ、あと、もう一回だけ、拓人って呼んで」
「……拓人」
「…………。……よし。……完璧」
二人は、暗くなったリビングに明かりを灯し、寄り添うようにしてキッチンへと向かった。
スマホの奥深くに隠された「宝物」が、二人の絆をまた一つ、強く結んでいた。