第3章 至近距離で拝む自担の顔。
「仕事の顔」でひとしきりうさみを翻弄した拓人が、ふぅ、と満足げに力を抜いた。
今は、うさみの膝の間に座り、彼女の胸元に背中を預けて、リラックスした状態でスマホをいじっている。
ふと見ると、彼は何かを考え込むように、無意識に右手を顎に添えていた。そのせいで、高い鼻の横の、柔らかそうな頬が「むにー」と盛り上がっている。
(……待って。今の角度、最高に可愛い。とうとう生のぷににしが見れた。というか、……顔が良すぎる……)
至近距離で見る、長い睫毛と、少しだけ尖った唇。
うさみの中の「オタク心」と「彼女心」が同時に爆発した。彼女はたまらず、両手を伸ばして、その愛おしい両頬をふんわりと、でもしっかりと挟み込んだ。
「……むぐっ! ……なに……」
拓人が目を丸くして、うさみを見上げる。
手のひらに伝わる、意外なほどの肌の柔らかさと、体温。
「……ぷににし」
「……は?」
「ぷににし。……今、拓人のほっぺ、すっごくぷにぷに。……今度のブログのタイトル、これにしたら?」
うさみがいたずらっぽく笑いながら、さらに指先に力を込めて「むにー」と形を変える。
いつもは「にし」を付けて、シュールにタイトルを決めている彼が、うさみの手の中で完全に「おもちゃ」状態になっている。
「……そんなタイトル、出せるわけないだろ……」
拓人は文句を言いながらも、うさみの手を振り払おうとはしない。むしろ、その手のひらの心地よさに身を任せるように、うさみの指に自分の頬を預けてきた。
「……ねえ、近い。顔、近すぎる……」
「……挟んだの、おまえの方でしょ」
拓人は「むにー」となった口のまま、少しだけ目を細めてうさみをじっと見つめた。