第3章 至近距離で拝む自担の顔。
「……ごめん、うさみ。休みなのに仕事の話…」
謝ろうとした彼の言葉は、うさみがたまらず彼のシャツの襟元を掴んで、自分の方へ引き寄せたことで遮られた。
「……え、うさみ?」
「……反則。……今の顔、反則」
「……何、急に……」
「……やっぱり、私、拓人の仕事してる顔が好き。……かっこよすぎて、今、心臓が持たないかと思った。責任とって」
大人の余裕なんてどこへやら。
潤んだ瞳で「責任取って」と詰め寄るうさみに、拓人は一瞬だけ呆気に取られたあと、クツクツと喉を鳴らして笑った。
「……なんだよ。俺が甘えようと思ってたのに、うさみの方が先に火がついてんじゃん」
彼はうさみの腰を再び力強く引き寄せると、今度は「仕事の顔」を残したままの、鋭く、情熱的な瞳で彼女を見つめ返した。
「……わかった。責任、取るよ。……仕事の俺に惚れたんなら、その顔のまま、たっぷり可愛がってあげる」
そう言って、彼は逃げ場をなくすように彼女をソファの背もたれに追い詰めた。
「甘えたい生き物」が、不意に見せた「プロの牙」。
休日の午後は、ここからさらに激しく、深く、二人を飲み込んでいった。