第2章 お手振り王子の誕生日。
ドームの照明が完全に落ち、鼓動を突き上げるような重低音が響き渡る。
次々と登場する事務所のアーティストたち。
センターステージ、眩い光をあびて現れたのは…
「……っ、きた……!!」
うさみは、社会人生活で築き上げてきた「冷静な自分」を、その瞬間どこか遠くへ放り投げた。
「てらぁぁぁぁ!!」
自分でも驚くような声で、うさみは叫んでいた。周りのファンの熱狂的な歓声に混じりながら、全力で水色のペンライトを振る。
ステージの上でスポットライトを浴びる彼は、数時間前に自分の膝の上で「あと10年寝かせて」なんて言っていた男とは、到底信じられないほど神々しくて、残酷なほどにかっこいい。
ライブ中盤。ついにその瞬間がやってきた。
曲はアッパーなダンスナンバー。拓人が軽やかなステップで、うさみのいるブロックの方へとステージを歩いてくる。
(……くる。……こっちに来る……!)
うさみは、心臓が口から飛び出しそうになるのを必死に抑え、ペンライトを胸元で握りしめた。