第14章 特別な言葉
「ガキだよね。君のことをもっと考えるべきだろとか、色んなことが頭にまわってさ」
「ううん。そんなことないよ。さっきも言ったけど、ほんとに嬉しいんだ。私も二人の将来、ずっと気になってたから。でも、やっぱり中々言えなくて、ヴィクトルの事情はどうだろうとか考えて」
互いに思いやってた事が分かり、だが気遣うあまりにはっきり言い出せないところも似ていたのだった。
「でもプロポーズ2回目だから安心したんだ。あぁ嬉しかったぁ」
「……えっ? 2回目? 誰が君にしたの?」
突然放たれた情報に彼の目の色が変わる。
「あっ。いや違うよ。相手はヴィクトルだから」
「……俺!? ちょっと待って、話がまったく分からない」
混乱する彼を落ち着かせながら、あなたは前にあったことを告げる。
彼が風邪を引いて寝込んだあの夜、寝言で呟いていたことを。
嘘のような話だが真実なのだ。
彼は呆然と口元を押さえ、だんだん顔を赤らめていった。
「……馬鹿じゃないのか俺は」
「え! 嬉しかったよ私は。だからくっついて私もだよ、って返事したの」
その夜のことを思い出して勝手に顔がにやける。
すると彼はより赤く染まっていったが、徐々に面持ちがじっと迫真的なものに変わった。
「名無しちゃん……どうして君はそういう大事なことを言わないんだい」
「ええと、だってさ。夢見てるだけかもしれないし、もし本当でもプレッシャーになること言いたくないでしょう? だから嬉しいんだけどモヤモヤしたまま…」
「プレッシャーかけていいよ! むしろかけてくれ!」
前のめりになって顔を近づける彼に驚きつつも申し訳ない笑みが出る。
「そっか……私も言えばよかったな。ねえいつにするのヴィクトルぅ?ってさ…」
「それすごく可愛いね」
「そう? セリアちゃんのアドバイスの真似なんだけど」
「最高だよ」
言い切る彼が面白くて、しばらく楽しく会話をした。
しかし話を元に戻さなければ。
あなたは再び緊張しつつも、さきほど彼から頂いた箱に手をかける。