第14章 特別な言葉
細い丸太が積み上げられた、冬のぬくもりたっぷりのカフェだ。
キルトが飾られた二人でゆっくりできる丸型のソファ席に、並んで座った。
あなたは赤色が薄まってきた頬で、両手にホットチョコレートのカップを握り、嬉しそうな表情をしている。
軽く頬杖をついて、愛おしそうにそれを見つめるヴィクトルは、頼んだコーヒーに手をつける時間もないほど、幸福に満たされた様子だった。
「ふふ。夢みたいだなぁ。さっきのこと、本当に起こったの?」
「それは俺の台詞だよ。信じられない。幸せの絶頂だ」
あなたは彼の言葉にさらに瞳を柔らかくする。
ああ、こんなことがあるんだ。
誕生日の出来事だけでもありえないほどたくさんの幸せをもらったのに、求婚までされるとは。
自分はどうやってこの先お返しすればいいのだろう――。
「ねえ名無しちゃん。君の返事をもらったのは俺の最高の喜びなんだけど……中身見なくて大丈夫?」
彼は穏やかに、あなたのそばに大事にちょこんと置いてあるピンクの箱に目線をやった。
「あっそうだ! ごめん失礼だよね、すぐに開けなくて。でもなんかちょっと、緊張しちゃって。だってヴィクトル、昨日もこんなに素敵なネックレスもらったばかりだよ」
あなたはブラウスの首元に光る、ハート型のルビーに触れる。
すると彼はにこりと笑った。
「それは誕生日プレゼントだからね。これは君への気持ちの表明の一部だから、別々のものだよ。……あっでも、やっぱり重い…? ごめんね、正直に言うと、タイミングは迷ったんだ。でもクリスマスよりかは、もっと特別なこの旅行のほうがいいんじゃないかって」
彼が正直な思いを話してくれて、あなたはきちんと聞き入る。
ヴィクトルは更にさらけ出すように、「気持ちを我慢できなかった」とも話してくれた。