第14章 特別な言葉
誕生日の翌日、二人は森のバンガローを後にした。
今日は雪は降っておらず快晴だ。車を走らせる間も脇道はきらきらと白く輝いている。
「すっごく楽しかったね、ヴィクトル! 帰っちゃうのもったいなかったなぁ〜。ほんとにありがとうね、何から何まで」
「ははっ。そんなかしこまらないで名無しちゃん。いつもお世話になってるの俺のほうだよ。でも喜んでくれてよかった」
サングラス姿が決まってる運転席のヴィクトルが、ちらっとこちらを見て笑む様子がまた痺れる。
ほんとにこんなに至れり尽くせりのバースデーは初めてだった。
自分も何かお礼を持ってくればよかったのだが、渡すタイミングも案の定なく、彼に凄く感謝しつつも結局のところ甘えさせてもらっていた。
彼の誕生日には、たくさん喜んでもらうために自分なりにとっておきの事をしよう、そう心に決めたのだった。
やがてほど近い有名な観光地にやって来る。
ここは登山客でなくても、気軽に雪山を楽しめる展望台が中腹にあり、ロープウェーが出ている。
車を駐車場に停めたあとは、さっそく乗り場に向かった。多くの人が並び賑わっている。
「わぁーすでに寒い! でも楽しいねえ」
「ほんとだね。上についたらホットドリンク飲もうか」
「うんっ」
二人ともコートとダウンを着込み、あなたはニット帽に手袋まで完全防備だ。非日常的な空気にわくわくしながら、乗り物に乗り込んだ。
20人ほど入るかなり大きめの四角いキャビンである。
座席も中央に十分あるが、人々は皆眺めを見ようとガラス張りの前に立っていた。
あなたの隣には長身のヴィクトルが寄り添い、一緒に景色を見渡す。
「うわ、すごい綺麗だな。一面真っ白だ。湖も凍ってる」
「わ、わぁ〜。本当だ……」
最初は見とれていたのだが、ロープウェーが滑らかに進み、あっという間に下に木々など何もない地点に来たとき、あなたに異変が襲った。