第13章 誕生日編
「わーっ! すごい! これどこで買ったの? ものすごく美味しそう! 見て見て、デコレーションもかっわいい〜」
しかもホワイトチョコレートにお洒落に「名無しちゃんに愛をこめて」と描かれている。
「本当? 大丈夫かな? 実はこれ、俺が作ったんだ」
「……え!?」
頭上から突然告白されて、あなたは驚愕のあまりゆっくり顔を上げた。
ケーキとヴィクトルの真剣な顔を交互に見やる。
「ほ……ほんとに? これヴィクトルの手作り?」
「うん」
あなたはケーキを再びじっくり見下ろし、目が勝手に潤んでいく。
「凄すぎるよ! 大変だったでしょう? 私のために作ってくれたの? 」
あのヴィクトルがいそいそと自宅キッチンで取り組んでいる姿を想像する。
あまりにも衝撃的だ。いつも忙しい彼が、いったいどれだけ手間暇をかけたのか。
彼もようやく緊張が溶けてきたのか、ほっとした笑みが広がっている。
「味はまだ分からないけどね。自分でも絶対買った方が美味いよなとか、上手くいくかなってすごい悩んだんだ。でも名無しちゃんなら喜んでくれるんじゃないかなって」
そう照れながら話してくれる彼は、さっきまでレストランで完璧な大人の紳士像を表していた姿からは想像できない。
もうひとつの愛情深い素朴な面を見せてくれてる気がして、あなたの胸はいっぱいになっていった。