第13章 誕生日編
レストランに着くと、丸いドーム状の空間がいくつも並んでいた。
完全な個室ではないけれどきちんと区切られていて、二人きりの親密な距離感を作ってくれる。
白を基調としたテーブル席に座ると、ガラス越しに外の雪景色が見え、白い世界と溶け合うように幻想的だ。
「はぁ。なんて綺麗なんだろう。まるで別世界だね」
「本当だね」
テーブルからしばらく二人で情景に見入っていた。
飲み物が届いたあとは、乾杯して楽しくお喋りが始まる。
「私はやっぱり冬の子だから冬が好きなんだ。ヴィクトルは夏生まれだよね?」
「そうだね。7月だから」
二人が出会ったのは9月だから、惜しかったな。あなたがそう話すと彼は笑う。
「でも一緒にいてくれるでしょう?」
「当たり前だよ。ヴィクトルのお誕生日は私が全部予約するね」
胸を張って言った後にかなりわがままな注文だと気づいたが、もう取り返せない。
彼の満面の笑みが向けられたあとでは。
そして続々とコース料理が運ばれていく。
どれも見事な創作料理で普段はお目にかかれない品々だ。まるでストーリーがあるように見た目も味も素晴らしかった。
「ぅわあぁ〜美味しい。こんなの食べたことないよ。私にはまだ早すぎる気がするんだけど」
「はは、大丈夫だよ。俺も同じこと思いながら毎回ばくばく食べてるから。でも最近よく思うんだ、好きな人と一緒だったらどんな料理でも美味しいんだなって」
彼がそんな風に悟ったように柔らかな顔つきで話すから、あなたも全面的に納得してうんうんと頷き、また二人で笑いあった。
コースの最後まで味覚と会話を楽しみ、向かい合うテーブルでは笑顔が絶えなかった。
すると突然ヴィクトルがこんなことを言った。
「よし、じゃあそろそろかな。あのね、名無しちゃん。これ受け取ってくれるかな? 」
彼がジャケットの内側から細長い箱を取り出す。
美しくラッピングされたそれを見てあなたは目を瞬かせた。
――まさかプレゼント?
「えっヴィクトル、もうすでにたくさんもらってるよ!」
「いやいや、それは始まりだから。気に入ってくれると嬉しいんだけど」
そっと手の中に渡されて、目を凝らしながら大切に両手で受け取る。
ラッピングを丁寧に外し箱を開けた瞬間、そこにきらめいていたものに視線が吸い寄せられた。