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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第13章 誕生日編


「気に入ってくれてよかったな。でもやっぱり危険な香りする? 一応気をつけたんだけど。君がお店の服を着るって言ってたから、ちゃんと合うようにね」

あなたは深く感動する。彼は前々からあなたのブティックに興味があるようだった。
一風変わったスタイルも気に入ってくれてて、店のサイトも見たらしい。

「ばっちり合ってるし、もう美しい域だよ! ネットで雰囲気見ただけなのにヴィクトルってほんとにおしゃれだよね。こんな風に自分でコーディネートして」

興奮冷めやらずに話すと、彼もほっとしたように微笑んでいる。

「服とかは若い頃から結構好きなんだ。いつもはスーツばかりだけど、今は名無しちゃんの隣にふさわしいようにしないとね。もっと自分を磨かないとなって思ってさ」

そんなことを全くする必要ないぐらい、彼は完成されているけれど、彼らしい真摯な気持ちがとても嬉しくなった。

その後、二人でレストランに向かう途中で彼はこんなことも言ってきた。

しっとりした雰囲気の白壁の回廊を歩いていると、隣のヴィクトルが顔を寄せてくる。

「今度君のお店に行ってみたいな」
「えっ本当?」
「うん。男が行ったらおかしいかな?」

顎をさすりながら気にするような視線が、めずらしく初々しい。

あなたはふふっと柔らかい笑みを浮かべた。

「ううん、そんなことないよ。 夫婦とか奥様への贈り物とかで来る人もたまにいるんだよ。それに居心地もいいと思うよ。そんなに混んでるわけじゃないし。……あっ、接客してるとこを見られたら少し恥ずかしいけどね。でもヴィクトルが来てくれたら嬉しいよ」

自分でも驚くほど素直な思いがあふれてくる。
彼も驚いたのだろう。あなたが恥ずかしがり屋と知っているから。

急に手を繋がれて笑いかけられ、どきっとした。

「可愛いな名無しちゃんは。じゃあ今度サプライズで行ってみようかな?」
「いやサプライズはダメ!」
「どうして?」
「ちゃんと準備しないと」
「 何の準備?」
「えっと、顔とかメイクとか身だしなみとか――」

接客よりも彼の登場を気にしてるのが分かり、彼はこらえるように笑っている。

「そんなの十分でしょう、君はいつも美しいよ」
「へへ……ありがとう。でも来るときは教えてね」
「はいはい」

彼の大人びた笑いに、なぜか自分のまわりに熱気が生まれていった。
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