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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第12章 語り合い


「彼女と結婚するつもりなのか? 」
「そう思ってる」
「そうか、いつ?」

ヴィクトルは一息ついて答える。

「できれば今すぐにでもしたいと思ってるよ」
「急かすのは良くない。まだ22歳なんだろう。お前も俺ももう年だからすぐにでも準備ができているのは分かってるが」
「彼女とずっと一緒にいられるなら別に形は問わないんだ。俺のわがままだからな」

フロリアンにはなんとなく彼の言葉の背景にある思いが想像ついた。
ヴィクトルは彼女を失うのを恐れているのだろう。

同じ男ならば理解できることだ。
しかしそれを覆い隠すようにヴィクトルは続けて言った。

「こんなことは彼女には言っていないが、いつかもし俺から離れたいと思うなら、縛り付けることはしない。彼女の幸せが一番だ」

そう話すヴィクトルの表情をフロリアンはじっと観察していた。

そして悟る。親友の言葉は本心だが、彼女を諦めるなどということはまったく考えていないような顔つきだと。

大学時代を思わせるような、勝負に出るときの闘志にあふれた姿勢だ。

ヴィクトルはボート部のクルーの中でも重要なポジションで、最後尾で全体を見渡し、漕ぐリズムや速さを見極める要だった。

フロリアンはその前で強力なパワーを発揮する土台であったが、競技中に見ていた親友の情熱的な眼差しが、今また蘇るかのような気配をありありと感じていた。

「なにはともあれ、諦めるのはまだ早いよな。本気で好きなら年齢は関係ないさ。どうせお互いに年を取るんだから」

フロリアンはさっきまでの窘めを覆し、親友の励ましに回る。

「結婚なんて相手をどれだけ受け入れられるか、それだけだよ。お前にとっても彼女にとっても」
「フロリアン。すごく身にしみるよ」

くつくつと目を細めて笑い出すヴィクトルは、やがて食えない笑みを浮かべた。

「だが俺は大丈夫だ。俺はどんな彼女でも受け入れられるし、何も問題はない」

フロリアンはそんな自信に満ち溢れた親友を懸念したが。

「彼女の元彼はもう大丈夫なのか? 」

そう問われてもヴィクトルの表情は揺るがない。
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