第12章 語り合い
あなたはこの機会に、先週の日曜のケーキ店で起こったことも話題にした。
ちょっとした出来事かもしれないが、未だに心にひっかかっていたのだ。
話を聞いたゴシップ好きのセリアは、目を見開き訝しげな顔になった。
「はぁぁ? なにその女。うっざいねぇ〜。ヴィクトルさんのファンなの? 許さないんだから!」
「ちょ、ちょっと。急に芝居がからないでよ。…まぁただの勘違いかもしれないけどさ」
「なわけないでしょ。はっきり睨みつけられたんだから。名無しのことが気に食わないんだよ。ははっ、ざまぁみろ! もっと彼との仲を見せつけてやればよかったのに。あっそうだ、クリスマス会行くんでしょ? 私も加勢しようか?」
「はぁっ? 無理だよ、さすがに友達までは!」
どんどん興奮して盛り上がっていくセリアをなだめつつ、一方でやっぱりあの人の態度は気にしてもおかしくないレベルだよね、と次第に納得が募っていった。
「パーティーか…どうしようかな。前は絶対無理だと思ったけど、なんか気になるんだよね。ヴィクトルの仕事場での雰囲気とか、ああいう女性たち多いのかな、とかさ」
もちろん皆が皆そんな気持ちを持ち込んでるなんて偏見を持つつもりはないし、オフィスで働いたことのない自分が勝手にイメージを抱いていいとも思わない。
でも、恋人のヴィクトルの周辺事情が少し気になるようになってしまった。
「不純な動機だよね。でもなんかはっきりさせたくて。やっぱり行こうかな。彼がいいって言ったら」
「いいじゃんいいじゃん、面白そう! どっちにしろ結婚したら会社の人達と関わるようになるんでしょ? 幹部同士の奥様会とかあったりして。面倒くせぇ〜」
昼なのに酔った感じで絡んでくる親友に呆れる。
でも彼女みたいにあっけらかんとした気持ちで関わってみるぐらいが、ちょうどいいのかもしれない。