第12章 語り合い
「セリアちゃんは現実的ですごいなぁ。ねえ、エリックさんとまだ付き合ってそんなに時間は経ってないけどさ、考えたことある? 将来のこととか…」
気になって二人の関係を尋ねてみた。前にヴィクトルも含めて四人で会ったことがあるが、親友の彼はとてもきちんとした好青年の印象が鮮明である。
しかしセリアは一見適当で感情豊か、刹那的な劇団員に思えるが意外にも現実主義なのだ。
「いやまだないね。そりゃさ、凄く好きだし気が合うし、長く付き合いたいなとは思うけど。お互いまだ若くて仕事もあるじゃん? 私は劇団員としてはこれからだから。それに、エリックはレストランの仕事大事にしてるからね。継ぐのはお兄さんみたいだけど」
つらつらと語り始めるセリアの表情は真面目で、彼女も慎重に考えているのが伝わった。
「そうだよね。結婚したらお互いの生活がどう変わるかも二人で話し合わないといけないもんね。住む場所とかお金とか」
「そうだよ! 名無しはどうするの?希望とかあるの?」
「……うーん……まだよく考えてないや」
「はは。まぁそこらへんは彼と決めればいいっしょ。だってこっちの気持ちも相手は気づいてないんだからさ」
セリアはからっとした笑みを向けてくれて、いつも不安になりやすいあなたの肩をぽんと叩き、パフェのスプーンを一口向けてきた。
好きなチョコケーキの部分をあなたは口に入れて受け取り、ごくっと飲み込んだ。
「うん。まず話してみよっかな。少しずつ。ええと、来年あたりに」
「おそっ。もうすぐ名無しの誕生日じゃん。彼氏が盛大にお祝いしてくれるんだよね? 旅行いいなぁ〜。そこで聞いちゃいなよ」
色っぽく目配せされて、あなたは頬を緩めた。
実はその通りで、なんと来週にはヴィクトルとの一泊旅行が予定されている。
彼があなたの希望を聞いて、プランを作ってくれたのだ。
「ほんとに優しい人だよ……楽しみだけどドキドキする……緊張してきたよ…!」
「おいおい。ずっとホテル暮らしだったくせにまだ緊張してんの。まぁでも分かるわ、大人だもんなぁ〜ヴィクトルさん。ものすごい気合い入ってそう。倒れんなよ名無し」
彼女に男らしく発破をかけられて一瞬圧倒されたが、誕生日については彼にも任せてくれと言われたので素直に甘えようとしている。
「あ、それでさ。ひとつ気になる話がまだあってね…」
